幻のチーズ「ブルー・ド・テルミニヨン」を求めて


フランスチーズの種類は多くありすぎて、フランス人でさえ見たことも聞いたこともないようなチーズが山ほどあります。

今回のツアーのハイライト、幻のチーズと言われる「ブルー・ド・テルミニヨン」の生産現場を訪ねました。(私もこのチーズの名前を聞くのは今回が初めてでした)

この「ブルー・ド・テルミニヨン」というチーズは夏の間(6〜9月)だけしか生産しない期間限定チーズで、それも今では作っている農家が5軒しかなく作り方は口頭でのみ伝授され(一子相伝)、作る前から出荷先が決まってしまっている上、生産量も極めて少ないので、フランス国内でも口にすることがとても難しいそうです。

チーズの名前にある「テルミニヨン」というのは、イタリアとの国境のアルプス山脈のフランス側の麓の村の名前で、チーズを作っている山小屋はここから山に入って標高約2300mの地点にあります。まだ所々に残雪が残り、そこより少し高い地点には氷河が山肌を覆っています。夏の間でもあ天候の具合では吹雪くこともあるようなとんでもなく山深いところで、そのあたり一帯はフランスで最初の国立公園に指定されている地域でもあります。

自然保護の厳しい規制のため自然がそのままの形で残っていて高山植物はもちろん、シャモワ、マルモットなど珍しい動物もときおり見かけました。なんと急な岩山の崖や斜面を羊飼いと羊たち、そして羊を追う犬が移動するところにも遭遇しました。(その姿はアルプスの少女ハイジのピーターそのものでした)そんな自然が丸のままの形で残っている国立公園内に、6月になると麓の村から牛たちと共に電気も来ていない山小屋に上ってきてチーズ作りをするのです。

山小屋では人間と動物とが一体となって暮しています。
その形態が昔ながらで衛生的ではないのでは?という質問に対して、「動物共に暮すことによって乳の状態(牛たちの健康状態)などを肌で感じることができ、良いチーズを作ることができる。近代化されたチーズ作りは衛生的にはなったが、衛生的に保つことが動物にはストレスを与える原因になり、良いチーズができにくくなってきた。ここでは自然の状態で衛生にも気をつけた形でのチーズ作りを目指す。」との答えが返ってきました。
チーズ作りも国立公園と同様、あるがままのスタイルで行っているのです。これぞエコロジーな活動です。

さて険しい山道を登ってはるばる訪ねたチーズ作りの山小屋では、残念ながらまだチーズを作る環境が整っていなくてチーズ作りの現場を見ることができませんでした。
せめてチーズの熟成がが仕上がる11月には一口でいいから食べたいとお願いしたのですが、もう今年作る分は行き先が決まっているのでお分けできませんと断られてしまいました。せっかくの訪問でしたが「くたびれもうけ」になってしまいました。
しかしパノラマで体験したアルプスの大自然、人間の手が最小限にしか加わっていない中でのチーズ作りの実態を知っただけでも大きな収穫でした。そしていつの日か「ブルー・ド・テルミニヨン」を食べることを楽しみにしていこうと思います。

「やっと到着した山小屋」




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