エティヴァ
Etivaz
産地スイス、ヴォー州
原料牛乳
乳脂肪分45％？
形状直径30〜65B、高さ8〜11B、重さ10〜38Kg
タイプハードタイプ
季節秋から冬
プロフィール大きくはグリュイエールのひとつの種類のような存在。なのでグリュイエールと同様12世紀ごろには作られていたようだ。
今では世界各国にも輸出され生産量も多いグリュイエールだが、その中でも昔ながらの酪農と伝統的な製法をかたくなに守って作れるチーズがある。ヴォー州（スイスでも西のフランス語圏）の標高が1000ｍから2000ｍのアルプスの山中で作られる「エティヴァ」がそのチーズ。
2000年に第1番目のスイスのAOC（原産地呼称統制）に決まりその規定のひとつに、高地でのみ生産（アルパージュ）が許されるため製造期間は5月10日から10月10日と決められている。製法はほとんどグリュイエールと同じだが、大きさはグリュイエールよりやや小ぶりで20キロ前後。ごく小さな地区でのみしか作っていないため絶対的な生産量が少ない。
モルジュでできるビスケットのような固い外皮と中は濃いアイボリー色でハードタイプとしてはしっとりとしている。味は良質なミルクから作られたことを裏付けする濃厚なミルクの旨みとフルーティーな香りが豊か。
食べた感想スイスは国土のほとんどが山だから、ハードタイプのチーズはたくさんあります。チーズに感心がなかった頃からトムとジェリーの穴の空いたエメンタールの存在は知っていたし、興味を持ち始めてチーズ売り場を覗くようになっても、必ずグリュイエールとエメンタールは売っていました。
スイスは観光や精密機械などが輸出の主要な産業ですが、チーズも輸出産業としてはわりと重要なので政府がしっかりとチーズ産業を守り、良質なチーズを大量に効率よく生産し海外へプロモーションをする、というルートができていました。
そのルートに乗ったいくつかのチーズ（例えばグリュイエールやエメンタール、アッペンツェラー、スプリンツなどなど）は良く知られるようになり、日本でも手に入りやすいチーズなのですが、もっと小さな地域で作っている地域色の強いチーズや、家庭や村で食べる自己消費用のチーズなどの存在はまるで知られていません。
スイスは今のところEUに加盟していないため、ヨーロッパレベルのチーズの質を測る基準として「AOC制度」が2000年からスタートしました。その1番目の認定チーズとしてエティヴァが選ばれたわけなのですが、それまではほとんどその名前を聞くことすらなかったチーズだったため「スイスにはまだまだ知られていない掘り出し物チーズがあるのかもしれない・・・」と期待しています。
さてこのエティヴァは（グリュイエールのエリートともいわれているくらいです）なので、見た目はフランスのコンテやグリュイエールとあまり変わらないのですが、アルプスの標高の高いところにある放牧場で美味しい草花を食べた牛のミルクから作られるだけあり、色が濃い！普通のグリュイエールと並べてみるとその差は歴然です。かなり黄味がかかっているアイボリーで（カロテンがそれだけたくさん含まれているのです）味も濃厚でした。
味よりも印象的なのは香りです。グリュイエールなどこの手のタイプのハードチーズを総称して「グリュイエールタイプ」とも呼びますが、グリュイエールタイプのチーズで良質のミルクと良い条件での熟成を経たものには柑橘系の皮の部分やリンゴなどにも共通してある「フルーティーな香り」があるのです。果物の果汁の香りではなくて果物を皮の部分切らずに嗅いだときに感じられるの香りです。その香りが豊かであればあるほど、チーズの旨みや甘みが強くでている場合が多いので、幸運にもそういうチーズに何度か出会ったことのある私はその香りを嗅ぐだけで唾がでてきてしまう・・・。まるでパブロフの犬状態です。エティヴァにはその香りがかなり強く感じることができます。
熟成期間は最低でも135日（約4ヶ月）するということで、売られてるエティヴァはもう少し熟成期間が長いものが多いようです。私が食べたものは熟成が長いわりにはしっとりとして粘着性が強いような気がしました。そしてしっかりとアミノ酸の結晶が入っていて旨みは十分堪能できましたし、フルーティーな香りと共にちょっと感じられるのはウオッシュタイプのような漬け物臭、そして熟成庫のカビっぽいすえた匂いで、それがチーズに複雑さを加えるアクセントとなっているようでした。
ナッティーな味わいがあり食べたあとも余韻がかなり長く続き、やはり良質なミルクで作ると強いチーズができるんだなぁ、としみじみ感じ入りました。
合うワイン赤ワインならブルゴーニュのピノノワール種のもの（ACブルゴーニュか良くても村名くらいのクラス）、クリュボージョレ（村名のボージョレワイン）などがよいのでは。白ワインはスイスのシャスラ種のワインやジュラやサヴォワなど山の白ワインを。
合うパンパン・ド・カンパーニュや全粒粉のパンを。





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