グリュイエール
Gruyere
産地スイス、フリブール州
原料牛乳
乳脂肪分48%
形状直径70〜75cm、高さ9〜13cm、重さ30〜45kg
タイプハードタイプ
季節1年中
プロフィールスイスの西部、フランス語圏にあるグリュイエール地方が産地。その歴史は12世紀に遡り、冬の寒さの厳しい地方ならではの保存食として欠かすことのできない食べ物であった。
現在スイス国内ではエメンタールチーズ(大きな気孔があるチーズ)に次ぐ2番目の生産量で、各国への輸出量もかなり多い。スイス政府はエメンタールやグリュイエールチーズなど輸出量の多いチーズに関しては「チーズの原料となる牛乳は無農薬の牧草と無添加の飼料を食べた牛からのミルク、それも無添加の生乳」と規定をしている。それだけこだわって世界に誇れる品質の維持を国をあげてしているというわけだ。
隣国のフランスにもグリュイエールというチーズが存在する(イタリア、ベルギーにも同じ名前のチーズがあるらしい)。フランスのグリュイエールとはコンテのことをさすが(コンテチーズの品質の等級で低いものをグリュイエールといって売っている)、ジュラ山脈を挟んで西がフランス、東がスイスという地形上、同じ呼び名で同じようなチーズが存在することは不思議でない。
黄褐色の固い外皮の中身は、引き締まっていてしなやかなアイボリー色。熟成が進むにつれ黄色が濃くなり、香りも強くなる。ナッティーでコク、酸味などを感じることができる。
世界一カルシウムが豊富なチーズは同じスイスのエメンタールらしいが、グリュイエールもそれに次いで多く、塩分も少ない。
食べた感想グリュイエールといえばエメンタールとともチーズフォンデュに入れるチーズとしてにずいぶん前から知っていたし、チーズ料理のレシピなどにはよく登場するので、料理用のチーズなんだな…と無意識に思っていました。
百貨店やスーパーのチーズ売り場などにもパック入りのものがゴーダやチェダーのお隣に並んでいるのをよく見かけてはいましたが、ひょっとしたら今回初めて自分でグリュイエールを買ったかもしれません。
と言うのも、新宿のやたら迫力のあるチーズ屋さんで「これは洞くつ熟成のグリュイエールチーズですよ」と薦められ、『洞くつ熟成って、オイシイのかな?』と好奇心も手伝ってかなり大きな塊を買ってしまったのです。『そういえば(先月のピックアップで取り上げた)ボーフォールやトム・ド・サヴォワの熟成も古いトンネル跡や山の崖を削って熟成庫にしていたっけ…。うーん、きっとじんわりと熟成が進んでいてコクがあるんだろうな…。』などと思いつつうちに帰って早速食べてみました。
きめが細かいというか身が引き締まったチーズの身は薄いアイボリー色で、ツルンっとしています。「すごく品が良いお嬢様の肌」みたいな印象。果たして味は……う〜ん、この頃芳醇なフランス産のハードチーズの味を知ってしまったせいか(例えば、コンテ・エキストラ、ボーフォール・エテ、などなど)何か味が薄い感じ。ちゃんとミルクのコク、ほろ苦さとかナッティーな感じや、チーズらしい酸味なんかもあるんですが、薄いんです。例えて言うならボーフォールやコンテがフォルティッシモなら、グリュイエールはピアノかメッツォピアノくらいのボリュームとでも言いましょうか…。奥床しい味わいです。
そのまま食べるだけでは飽きてしまうくらい大きい塊なので、いろいろなお料理にチャレンジしてみました。と言ってもチーズ料理としては定番と言われるようなものしか作りませんでしたが、中でもヒットは「マスカットとグリュイエールのタルト」(「もっとテーブルにチーズ(雄鶏社)」より)。マスカットとグリュイエールチーズのマリアージュが見事な一品です。そのほかクロックムッシュもどきのチーズトーストにしても、やはりスライスチーズとは一味もふた味も違う「あちゃらの味」になり、朝食からリッチな気分になれました。
合うワインフーティーな赤ワイン。ボージョレー・ビラージュ、キャンティ、など。さっぱりとして飲みやすい「テーブルワイン」的な白ワインでも相性がよさそうです。
合うパンバゲット、クラッカー。もちろん食パンにのせてトーストしても美味しい。


これはうまい!!「マスカットとグリュイエールのタルト」

 


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