テティージャ
Tetilla
産地スペイン、ガリシア地方
原料牛乳
乳脂肪分45%
形状直径13.5B、高さ約11B、重さ500g〜1.5kg
タイプセミハードタイプ
季節一年中
プロフィールスペイン北西部のガリシア地方(ポルトガルの北側の地域)は大西洋沿岸で海流の影響を受けて海洋性気候で雨の多い地域。地中海側、内陸部のスペインとはまた違う気候で、農業や酪農業も当然違ってきている。
緑の牧草地が豊かに広がるこの地域では牛の飼育に向いていて、原産地呼称(DOP)のチーズはすべて牛乳製のもの。その中でも一番名前が通っているのが「テティージャ」だ。
テティージャは形がユニークで「おっぱい」の形をしている。名前はまさに「おっぱい」という意味。形もさることながら、味わいもミルクキャンディのような優しい味わい。ミルクの甘い風味の中に少しばかり酸味や苦みのようなものも感じるが、素朴で懐かしい味。チーズは2〜3週間程度の熟成で食べることが一般的で、セミハードタイプではあるが水分が多めでしっとりとしていてムチっとした食感が楽しめる。
食べた感想私のチーズのバイブル「チーズ図鑑」(1995年に購入)に載っていたのでずっと気になっていたチーズ。スペインチーズがぼちぼち輸入されるようになってもなかなかテティージャの姿を見ることができませんでした。聞くところによると、テティージャは輸出されるときはチーズのまわりに防カビ剤を付けるとのこと。日本ではこの抗生物質が許可されていないのでチーズの輸入も認められないとのこと。ところが、最近この薬品を使わない特別仕様のチーズを日本の業者が特注して、輸入されるようになりました。
さっそく買い求めて食べてみると、思った以上にミルキーで柔らかいチーズ。普通のセミハードタイプのチーズに比べても優しすぎて味わいのインパクトとしてはあまり無いかもしれないです。でも塩味も控えめでミルクっぽいこの味は、子供からお年寄りまできっと抵抗無く食べることができると思います。
先月、念願かなってガリシア地方を旅してきました。チーズの産地を巡るツアーだったので、テティージャを造る工場訪問もしました。その素朴な味わいから、小さな農家のおばあさんやおばさんがひとつひとつ手作りをしているようなイメージをもっていたのですが、行ってみておどろいたことに最新鋭の設備と環境を配慮した工場がほぼオートメーションでたくさん作っていたのです。聞けばEU統合によりDOPチーズの品質をヨーロッパレベルにしないといけないと同時に、衛生面においても細心の注意を払い間違いのないシステムで製造しなくてはいけないということで、このような設備の整った工場でないとDOPチーズの基準を満たすチーズが作ることができないそうです。設備が整ったお陰で高品質なテティージャが安定して生産されるようになったそうです。
そんな説明を聞いた工場訪問の翌日、サンチャゴ・デ・コンポステーラの街である朝市に出かけました。 するとたくさんの露天の中に自家製のチーズを持ってきている私のイメージ通りのおばあちゃんやおばちゃんが何人もいて、いかにも「手作り」のチーズがたくさん並んでいました。日本で食べたり、前日の工場で試食で食べたテティージャよりずっとソフトで水分が多い「やわやわ」なテティージャでした。「おっぱい」っぽい味がより強い感じがしました。形は柔らかい分、ゆがんでいたり潰れていたりしていましたが、きっと小さな作業場でひとつひとつ手作りをしたんだなぁというのが想像できて、それぞれに顔が違っていたのが面白かったです。
またサンチャゴ・デ・コンポステーラの土産ものやさんや食材店のウインドウや冷蔵庫にはテティージャをはじめとするガリシアのチーズたちが「私たちはこの地方の代表です」という顔をして並んでいるのがユニークでした。しかしながら地元の人たちはテティージャなどは食べず、もっともっとローカルなチーズ(原産地呼称が無いので安価)をもっぱら消費しているそうです。
合うワイン同じガリシア地方のアルバリーリョ種のワインを。青リンゴのようなフレッシュでフルーティーな味わいが優しいチーズに良く合います。赤ワインより軽い辛口の白ワインを。
合うパンバゲット。




市場で見かけた手作り?テティージャ


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