ペライユ
Perail
産地フランス、ルエルグ地方
原料羊乳
乳脂肪分45〜50%
形状直径8〜10B、高さ1.5〜2B、重さ80〜120g
タイプブルビタイプ(羊乳製)? もしくはフレッシュ、ソフトタイプ
季節冬から初夏にかけて
プロフィールフランスのルエルグ地方とは中央山塊とラングドック・ルーション地方の間あたりの地域。フランス全体から見ると南部にあるといえる。
この地方のもっとも有名なチーズはロックフォール(青かびタイプ)であるが、ペライユはロックフォールと同じ羊のミルクから作られているソフトタイプのチーズ。
フランスの南部(西はピレネー、東はコルシカ)は羊も多く飼われていて、特にルエルグ地方ではロックフォール用の羊の飼育が盛ん。そんな土地でロックフォールの副産物として生まれたのがペライユといってもいいだろう。
円盤形の100gくらいのチーズは薄いアイボリー色をしていて柔らかい。特に白カビとか青カビを付けて熟成をさせないので自然の表皮を持つ。羊乳特有の濃厚な風味があり芳醇なミルクの香りと味わいが口に広がり食べやすい。
しかし熟成が進むと獣臭い独特の匂いが際立ってきて、一癖あるチーズになる。
食べた感想シェーブルタイプもそうですが、羊(ブルビタイプ)には旬があり母羊が子供を生んだ冬から初夏にかけての5ヶ月ほどしかミルクを搾乳できません。当然チーズもその期間に作らなくてはならないので、ソフトタイプであまり長期熟成をさせないペライユは食べられる時期がある程度限定されています。
私のよく利用しているチーズショップでは「ペライユが入ってきましたよ」と2月か3月頃に声をかけてくれます。あぁ、もうそんな時期なのねと季節を感じワクワクできる一言。10月の今はそろそろペライユは店頭から無くなってしまう頃(あるいはもうとっくに無いかも)ですが、「Perac」という名前の入った羊乳のソフトタイプのチーズがいろんなチーズショップで並んでいるを発見しました。
聞けばこれもペライユらしいのだが、名前が違っているのはこれを作っている会社の商標になっているからのようです。お店の人は「工場製のペライユです」といって紹介してくました。確かにエチケットには小さく「Perail」と記載してあります。
ペライユはロックフォールを造っている地方のチーズですが羊のミルクは牛や山羊に比べると格段に搾乳量が少なくまた期間も短いのであまり生産性がないのです。人気のロックフォールを作るためには南フランスはもとよりスペインやイタリアの羊のミルクも使っていたそうです。しかし最近では技術が向上して羊のミルクが余るようにすらなってきたそうで、ロックフォール以外のチーズの開発や生産が伸びてきているそうです。もともとはフェルミエ製(農場製)が多かったのでしょうが、今では大量生産の工場製が主流のようです。
97年にフランスに行ったときに、サントモールのお祭りにロックフォールで有名なパピヨン社のブースがあり、今から思えばそこにペライユらしきチーズがパッケージに入って並んでいたことを思い出しました。ロックフォールの会社がロックフォール以外のチーズも開発したんだ〜と、感心したことを覚えています。
そんなペライユは今、もっともAOCに近いチーズとも言われています。近い将来AOCチーズの仲間入りをする日が来るかもしれません。
牛や山羊に比べて乳脂肪分の多い羊のミルク、しかも脱脂をしない全乳で作るので非常にまったりとコクがあり分厚い味わいがあります。ソフトでクリーミーな食感は日本人好みの味わい。あまり熟成しない若いもののほうが臭みがなくて食べやすいでしょう。くせのあるチーズがお好きな人には賞味期限ぎりぎりくらいからが美味しいかもしれません。
合うワイン南仏ラングドック・ルーション地方の赤。熟成したものは上等なワインと合わせるとワインの苦みやエグミが出てしまうので、カジュアルなワインとのほうが相性がいいようです。たまたま飲んでいたコンドリュー(ローヌの白ワイン)とは大変よく相乗しました。
合うパンパン・オ・セーグル(ライ麦入りパン)やパン・ド・カンパーニュ。




文中の登録商標ネームの入った(工場製?)ペライユ





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