ムルシア・アル・ヴィーノ
Murcia al Vino
産地スペイン、ムルシア地方
原料山羊乳
乳脂肪分45〜50%
形状直径約20B、高さ4〜5B、重さ1〜2kg
タイプシェーブルタイプのセミハードタイプ、もしくはウオッシュタイプ
季節
プロフィールスペインは地中海に面したムルシア地方(アンダルシア地方、バレンシア地方の間)で生産されるチーズ。この地方は山羊、羊などを飼っている農家が多いが、このチーズは100%山羊乳で作られている。この地方の山羊は良質なミルクを出し、そのミルクは乳糖や脂肪分が多く含まれる。
そのミルクから作ったセミハードタイプのチーズを地元の赤ワイン(タンニンが強く、色も濃い)で週に2回表面を洗う作業をするため、チーズの表皮はちょっと暗めのワインレッドに染まっている。
チーズの中身はシェーブル特有の真っ白な色目で、ややしっとりとしていてキメが細かい。ほのかな酸味とミルクの甘みや旨みが十分に感じられ、味のまとまりはとてもバランスが良い。
2001年8月にDOP(原産地呼称統制)の認可を受けた。
食べた感想最近の私のお気に入りのチーズです。スペインのチーズじたい、まだどこでも手にはいるというポピュラーなものではありませんが、このムルシア・アル・ヴィーノはさらに珍しいチーズかもしれません。
スペインのチーズといえば「マンチェゴ」が一番名前が通っていますし、羊毛産業の名残で羊のチーズがポピュラーです。しかし地中海に面した地方では昔から山羊の飼育が盛んらしくて、いくつか山羊のチーズが生産されているようです。
シェーブルといえばフランスのロワール河流域が産地として有名ですが、ここのシェーブルは小さめのユニークな形が特徴。出来たては酸味が強くて、熟成とともに酸味は和らぎ乾燥してどんどん堅くなっていきます。日本で手に入るシェーブルタイプはだいたいこのようなものだけに、スペインのシェーブルはちょっと違うなぁと食べてみて感じました。
まずその食感。シェーブル・トムというセミハードタイプのシェーブルはフランスにもありますが、もっとカマボコのようなムチっとした食感。味はいい意味で素朴ではあるものの、やはり大味という感じが。それとくらべてムルシア・アル・ヴィーノはしっとりとしてキメの細やかなデリケートな食感で味わいは塩味、酸味、甘み、旨みのバランスが非常に整っている完成度の高い味。しかもいわゆる「山羊の体臭」という感じの獣臭さもほとんど感じないのです。ムルシア地方はもちろんのことスペインにすら行ったことがないので、ムルシアがどんな土地でどんな暮らしをしている人たちが住んでいるのかまるでわかりませんが、このチーズに関していえば「田舎臭い素朴さ」という感じがあまりしません。繊細でデリケートな味わいなのです。
周りを赤ワインで洗って熟成をしているということですが、その赤ワインの味わいや酒粕臭い感じというのはチーズにはあまり影響がないようです。イタリアやフランスのワインの絞りかすで漬け込んだチーズのようにお酒の風味は感じられません。逆にそのほうがチーズの純粋な旨みを感じられていいように思います。
山羊乳のチーズでこんなに「旨み」が感じられるものはなかなか無いと思います。しかも臭くない。初めてであった上品なシェーブルタイプのチーズです。
合うワインフルーティーなミディアムボディの赤。グルナッシュが主体のローヌ地方のリーズナブルなワインやボージョレなど。白ワインは酸味のある軽快でフルーティーなものを。
合うパンバゲットやパン・ド・カンパーニュ。パン・オ・セーグル(ライ麦入りパン)なども。




チーズに興味のある方、ご一報ください。


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