ガプロン
Gaperon
産地フランス、オーヴェルニュ地方
原料牛乳
乳脂肪分30〜45%
形状底の直径8〜9B、高さ8〜9B、重さ250〜350gの半球形(お椀を伏せた形)
タイプ白カビタイプ(?)
季節1年中(旬は10月から3月)
プロフィールフランスの中央山地、オーヴェルニュ地方のチーズ。決して裕福とは言えない山の生活の中で、ミルクは貴重な食糧源であった。そしてそのミルクのクリームを分離させ、そのクリームからバターを作り、バターを除いた液体、バターミルク(脂肪分の少なくなったミルク)に新たにミルクを足して作ったのがこのチーズ。ミルクを1滴たりと無駄にできない貧しい地方ならではのチーズで、乳脂肪分が少ない低脂肪のチーズだ。
名前の「ガプ」の部分はこの地方の方言で「バターミルク」という意味。 ニンニクと胡椒がチーズの中に入っていてスパイシーな風味が楽しめる。胡椒の刺激的な味が印象的ではあるが、若いうちは弾力がありミルクの優しい甘みが楽しめる。熟成が進むと固くなってきてさらに刺激的な味わいになってくる。
周りには自然に生えた白カビがあるので、日本では一般的に「白カビタイプ」と分類されている(その他の白カビタイプは現在では白カビの胞子を人為的に吹き付けている)。
食べた感想どうもハーブが入ったり、ニンニク風味がしたりというチーズはチーズとしては邪道な気がして、今まで進んで食べることがありませんでした。それにガプロンは1つが350gもあり、自分で買って食べるには大きすぎるので、売場に並んでいても気の毒にも無視をし続けていたチーズなのです。
それがこの春、ガプロンのミニサイズ(写真参照)が売り出されているのを見て、思わず可愛い!!とばかりに買ってしまったのが運の尽き、食べたら意外にも美味しくて楽しいではありませんか!!
チーズにコクとか旨みを求めるのは「正道」なのかもしれませんが、たまにこういった変化球チーズもいいものでした。・・・・というよりも実はじっくりと食べてみると、胡椒やニンニクのいかにも食欲をそそる香りや味の後ろに、実に控えめではあるのですがちゃんとミルクの優しく甘〜い風味が存在するのです。単にクリームを添加してバターのような風味がするチーズを「ミルクの甘み」とは私は思っていないので、低脂肪チーズで風味もバシバシにつけられているにもかかわらず、‘made from milk’と食べて感じられるのは驚きでした。何だかすごく高く評価してしまったのです。
ニンニクやハーブ、胡椒の入ったチーズはフレッシュタイプなんかにもよくあり、そういったチーズは比較的歴史の新しいチーズなのですが、このガプロンはチーズのメッカであるオーヴェルニュ地方(と、私は勝手に思っている)に昔から伝統的に作られてきたチーズと、その素性を知れば知るほど、なんかとても特別な存在のチーズのように感じてしまったのです。
ミルクが貴重な栄養源であった貧しい地方で誕生したチーズを、こうして何でも手に入る日本で食べるのも何だかなぁという気もしないではないのですが、貴重な文化遺産(←おおげさ)として有り難くいただくことにしましょう。
合うワインフルーティーで軽めの赤ワイン。ボージョレとか。コクのある白ワインにも面白いかも。ビールにもどうぞ。
合うパンバゲット、パン・ド・カンパーニュ(田舎風のパン)。




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