カブラレス
Cabrales
産地スペイン、アストリアス地方東部
原料牛乳(季節によって羊乳、山羊乳を混ぜる)
乳脂肪分50%
形状直径20センチ、高さ10センチ、重さ3kgの円盤形
タイプ青カビタイプ
季節1年中
プロフィールスペインの北部、ビスケー湾に面したガリシア地方、アストリアス地方、カンタブリア地方、ナバーラ地方などは「緑のスペイン」と呼ばれる降雨量も多く夏は涼しい気候で、豊かな牧草地が広がっている。そして特にアストリアス地方からカンタブリア、レオン地方にまたがるピコス・デ・エウロパ山脈ではブルーチーズの生産がさかんである。
このカブラレスはアストウリアス山の自然にできた石灰岩の洞窟で熟成される、スペインでは伝統的なブルーチーズでDOP(原産地呼称統制)にもなっている。
洞窟内の自然に浮遊する青カビがチーズに入り、カビが外部から中心部に向かってパセリ状に細かく生えるのが特徴。表面は赤褐色っぽい色で昔はおおかえでの葉で包まれていた(最近はフォイル)。
味は青カビの独特の刺激がかなり強く、風味も強烈なブルーチーズ。
食べた感想最近スペインのチーズもわりと入手しやすくなってきました。マンチェゴなどは食べやすい羊乳のチーズとしてかなり大手の輸入業者も扱っていたりします。が、ブルーチーズとなるとまだまだ珍しいようで、チーズの本やウワサなどで「カブレラス」という伝統的なブルーチーズがあるという情報は得ていたものの、なかなかめぐり会う機会がありませんでした。
今回、「すごく状態がいいんですよ」とチーズ屋さんに勧められて憧れのカブラレスを初めてゲットしました。昔はかえでの葉っぱでくるまれていたということは知っていたのですが、残念ながら私が買ったものはかえでの葉っぱがついていませんでしたが、自然にチーズに入り込む細かい青カビというものはそれはそれは見事でした。
普通の青カビタイプのチーズというものはまだミルクが液体の状態のうちに青カビが人為的に混ぜ込まれ、熟成と共にチーズの内側から外側に向かって繁殖していくものと聞いています。しかし、自然に入り込む青カビはミルクを固めてチーズのカタチにしてからカビが繁殖するため、チーズの外側から内側に向かって生えていくそうです。確かに今回買ったカブラレスはチーズの中心部にはまだ青カビが全く浸透していなくて、外側には細かく広がった見事な青カビが繁殖していました。
カブレラスは(というかスペインの青カビタイプのチーズは)牛乳に時には羊乳や山羊乳を混ぜて作るためかなり強烈な風味があるということでしたが、食べてみてなるほどかなり「粗野」なブルーチーズでした。なんだかブランデーのようなかなり刺激の強いお酒を浸した布などで巻いたかのようなアルコール発酵した様な香りと味がして、青カビの刺激もかなりピリリと効いている野性味溢れるチーズでした。
このままチーズだけを食べるのはちょっとつらいかな・・・ということで、赤ワインをお供にしたのですが、ひょっとしたら甘口のワインと合わせたらきっと甘美な世界が広がるのではと、かなり期待が持てる感じの取り合わせだと思います。
合うワインフルボディーの赤ワイン。チーズ自体がかなり粗野なのであまり上品なワイン(たとえばボルドーの格付きワインやブルゴーニュのワイン)でない方がいいかも・・・。産地が近いという理由でリオハの赤ワインなど。それとかフランスの西南地方やラングドック・ルーション地方の骨太の赤ワインなどを。そして甘口のワインとはきっとすごくいいと思います。
合うパンパン・ド・カンパーニュ(田舎風のパン)、レーズンなどドライフルーツの入った田舎パン。ライ麦パンでも。




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